愛染堂

秘仏・愛染明王坐像

秘仏・愛染明王坐像

重要文化財 鎌倉時代 木造彩色 像高31.8㎝
秘仏・愛染明王坐像

宝治元年(1247)に叡尊が願主、弟子の範恩が檀越(だんおつ)となって、西大寺の三宝久住を祈願して、仏師善円によって造立された。愛染明王は煩悩欲望を淨化して正しい生命力に転化する密教の極意を具象化した尊格であり、総身真紅で一面三眼六臂(ぴ)の忿怒(ふんぬ)形の本像は、像高30cm程の小像ながら迫力に溢れている。胎内に多くの納入品を納める。秘仏であるが年二回に特別開扉を行う。

興正菩薩寿像

興正菩薩寿像

国宝 鎌倉時代 木造彩色 像高91㎝
興正菩薩寿像

弘安3年(1280)に完成した叡尊上人の坐像。80才の賀を記念して生前に製作された寿像であり、叡尊像の根本像。像内に書付られた墨書によれば、弟子の鏡恵・惣持が発願し、仏師善春らが造立した。左手に拂子(ほっす)を持ち、右手に戒択(かいたく)を取らんとする像容は、授戒の戒師の姿である。長く伸びた眉・両眼の下のたるみ・額に浮く血管などを生々しく写実的に表わした威厳のある傑出した肖像彫刻であり、叡尊上人の生身の分身として大切に伝承されてきた。胎内に多くの納入品を納める。

黒漆彩色華形大檀

黒漆彩色華形大檀

重要文化財 鎌倉時代
黒漆彩色華形大檀

密教修法に用いる大檀で、修行者はこの前の礼盤(らいばん)に座して修法を行う。正方形の天板を囲う四方側面の上部に連弁帯をあしらう華形壇とし、檜材の上に全面に布貼りして黒漆塗りとし、各部に彩色を施す。大檀の上には、舎利を安置する宝塔を中心に、本尊を供養するための供養具や結界守護の仏具などの種々の密教法具が配置される。

客殿

客殿

客殿

愛染堂内の三区画のうちの北側の部分。十二畳敷の上段の間と総四十畳敷の二区画に分かれ、北・東の周囲に広縁を付す。上段の奥には床の間、違棚を設ける。客殿の襖と壁には花鳥等を描いた紙本著色の障壁画があしらわれている。

御霊屋(おたまや)

御霊屋(おたまや)

御霊屋(おたまや)

愛染堂内の三区画のうちの南側の部分。西側の上段の間の奥に須弥壇をしつらえ、正面に興正菩薩寿像を安置し、その左右に歴代先師尊霊の位牌を祀っているので、御霊屋(おたまや)と称する。上段の間の東側は二十畳敷の前室となっており、更にその南・東に広縁を付す。