初年厄除祈願会
初午祭は旧暦二月最初の午の日に行う祭礼で、その年の豊作を祈る農村儀礼が発展して、諸神仏にあらゆる祈願を修行する法会となりました。西大寺東門の東北に鎮座する石落神社(しやくらくじんじや)は、仁治3年(1242)叡尊上人が勧請された小祠です。
ある時、一老翁が叡尊のもとを訪れて菩薩戒授与の返礼に、あらゆる病苦を癒やす薬方を伝授しました。その老翁は三輪別宮に鎮座する薬神・少彦名命(すくなびこなのみこと)で、石落神社の祭神となったと伝えられます。
以後、当山では毎年年始に呪薬法会が営まれ、豊心丹(ほうしんたん)という妙薬を調製し、万民の病患・厄難を除去する功徳を施してまいりました。このような信仰を背景に、近代では毎年三月初午の日に四王堂十一面観音のご宝前に鎮守石落神を勧請して、護摩供による厄除開運の祈願法会を厳修いたします。