真言律宗
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西大寺は鎌倉時代に叡尊によって再興されたのであり、南都七大寺の寺格をもち奈良仏教の伝統を受継ぎつつも、一方で鎌倉時代に叡尊が興起した密教と戒律の融合一致を説く新たな教旨をその法統とする鎌倉仏教の寺院ということができます。
その法統は後世「真言律宗」と呼称されるようになり、西大寺はその総本山となりました。一方、叡尊が各地に新建・修造・寄附した数千の寺院がその末寺となって、西大寺を頂点とする「真言律宗」の一大教団が形成されることになったのです。
その後の歴史推移の中で、当初の教団規模は縮小を余儀なくされましたが、現代でも北は福島県いわき市から南は熊本県玉名市にいたるまで90数ヶ寺の末寺を擁する宗団として存続しています。
奈良市内・近郊の般若寺、元興寺、福智院、不空院、白毫寺、海龍王寺、不退寺、浄瑠璃寺・岩船寺、宝山寺、長弓寺等々の由緒ある名刹も、西大寺の末寺であり真言律宗一門の寺院であることをご存知でしょうか。現代の西大寺は一寺院としてみれば、他の南都諸大寺に比して観光寺院として地味でひっそりとした存在ですが、その教旨たる叡尊上人にはじまる「真言律」の法燈においては奈良の地に隠然たる地脈を築いているということができるのです。